- トップページ >
- 八丈ビューホテルの取組み|アクセシブル・ツーリズム推進事例
八丈ビューホテルの取組み 東京都八丈島八丈町大賀郷4422-1
20部屋をアクセシブルルームに改修
羽田から空路約1時間、八丈富士が出迎え
リゾート感溢れるロビー
取締役総支配人 宮代昌秀さん
東京都の亜熱帯区にある八丈ビューホテルは、八丈島の高台にあり、その名の通りロビーや別館客室からの眺めが素晴らしく、リゾート感が溢れるホテルです。八丈島までは羽田空港から約1時間、八丈島空港からは車で5分、観光はもちろん、釣り・ダイビング・ビジネスにも便利です。伊豆諸島の中で最も高い八丈富士を背にして、眼下には八丈ブルーのどこまでも澄んだ青い海が広がり、ロビーから眺める太平洋や満天の星空に癒されます。車いすユーザーや高齢者等が段差のない部屋で安心して滞在できるように、東京都宿泊施設バリアフリー化支援補助金を活用して本館2階、3階の合計20部屋をアクセシブルルームに改修しました。取締役総支配人の宮代昌秀さんにお話を伺いました。
羽田から空路約1時間、八丈富士が出迎え
リゾート感溢れるロビー
取締役総支配人 宮代昌秀さん
改修に至るきっかけ
入口左右に設置されたトイレ・バスルーム
ロールインシャワーのバスルーム
八丈島では、「より良く生きたい」という「夢」を「伝えること」を目的とした障害者中心のウォーキング・マラソン大会「八丈島夢伝大会」が開催されています。当初から島内だけではなく島外の福祉施設の方も参加され、車いすユーザーの方が20名ほど来島されたこともあります。当時の和式の宿では対応の難しさを感じ、2004年にバリアフリールーム1室と貸切風呂を造りました。それがバリアフリー化への取組みのきっかけです。
夢伝大会の参加者も高齢化してくると、今までのような和室では滞在に不便さが出てきます。参加者だけでなく観光で訪れる方も高齢者が多いこともあり、思い切って本館の2階、3階の和室を洋室化する計画を立てました。夏場は若い世代のお客様が多く来島します。若者世代にも喜ばれると共に、高齢者・障がい者にとっても段差が無く安心して滞在ができるアクセシブルルームを造りたいと考えました。一年間を通じて、誰もが使いやすい部屋を提供したいという思いです。2階、3階への部屋へのアクセスも以前は階段だけでしたので、同時にエレベーターの設置も計画しました。
しかし、大きな課題がありました。20室各部屋にバスタブを設置するとなると、古い建物のため改修のハードルが高くなります。そこでバスタブはありませんが、車いすユーザーの方にも使いやすく、若者世代にも人気のスタイリッシュなロールインシャワータイプのバスルームにしました。入口は引き戸でフラットにすることで、車いすでも楽に入れるようにして、シャワースペースにはベンチを付設しています。エレベーター設置については既存の建物に後から設置するとなると大掛かりな工事となるため、補助電源の確保という問題もありました。八丈島は落雷が多い地域のため、停電になった際の電源の確保が求められます。検討から完成までエレベーターの設置には7年を要しました。
入口左右に設置されたトイレ・バスルーム
ロールインシャワーのバスルーム
誰もが快適に過ごせるように工夫している点
盤暗証番号キー
車いすユーザーが使いやすいクローゼット
改修後4年間が経過し多くの方々にアクセシブルルームを快適に利用していただいています。視覚障害の方には分かり易いよう、ドアは手で触れて確認できる浮き文字の部屋番号プレートを取り付けています。ドア鍵は捜したり取り出したりする必要もない暗証番号キーにしました。加えて、かざすとドアが開く非接触型のキーも別途用意しています。
部屋に入るとスロープがありますが、両脇の手摺りで、車いすユーザーも楽に進むことができます。クローゼットのハンガー掛けバーも車いすユーザーが扱いやすい高さです。トイレ・バスルームは分離型となっていて各部屋入口の左右にあり、同行者がいる場合はお互いのプライバシーを保つことができます。トイレの手摺は客室により左右どちらかに設置されています。片麻痺等で片手しか使えない方もいますので、早めにわかっていれば左右対称のどちらの部屋が良いか判断してご案内しています。また可能な限り空港にお迎えに行き、アクセシブルルームを利用されるお客様が、何ができて何ができないかをお伺いし、お手伝いできる範囲を確認しています。朝食会場入口には段差がありますが、簡易スロープで対応しています。地下大浴場への館内ルートは階段しかありませんが、一旦館外に出て外の坂道を経由することで大浴場フロアに入ることができます。
盤暗証番号キー
車いすユーザーが使いやすいクローゼット
伊豆諸島全体でレベルアップしていきたい
以前は1泊2食の提供だった食事スタイルを朝食のみに変えました。理由は来島するお客様をホテルが抱え込んでしまうのではなく、地元の飲食店と共に賑わいを取り戻したいと思ったからです。コロナ禍の影響や店主の高齢化により廃業したいという声が島内のいくつかの飲食店から上がり、相談を受けました。島の良さは、困ったことがあっても島民同士が協力して乗り越えていくということです。そんな島の伝統が、障害が在る無しにかかわらず、誰もが快適に滞在できるアクセシブルルームへの改修に向かわせたのかもしれません。
今後はまだ改修されていない25室の全バリアフリー化が目標です。これまで改修したアクセシブルルームで学んだ経験を活かし、次は洋室ではなく和室でのバリアフリー化にもチャレンジしていきたいと考えています。
八丈島に限らず伊豆諸島における課題も後継者問題等様々ありますが、誰にも快適に楽しんでいただけるよう諸島全体でレベルアップしていきたいと考えています。
ソーシャルメディアアカウント
誰にでも優しく、
どこへでも行ける 東京。
観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
「行きたいところを旅する」ということは
人生を豊かにしてくれます。
東京は、あなたが訪れてくれることを歓迎します。
伝統・歴史・文化・自然・テクノロジー、
そしてなにより笑顔に出会えることでしょう。
アクセシブル・ツーリズムを
もっと身近に、もっと楽しく。