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大島温泉ホテルの取組み 東京都大島町泉津字木積場3-5
雄大な三原山の自然に抱かれて
ホテルからの三原山の眺望
支配人 山川哲矢さん
東京・竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で最短1時間45分、三原山、椿、あんこさんで知られる伊豆大島の三原山中腹に大島温泉ホテルは在ります。三原山山頂トレッキングの「温泉ホテルルート」の始点・終点となっており、伊豆大島ジオパークを楽しむ多くの登山者から人気の宿となっています。雄大な三原山内輪山や溶岩流跡が眺められる天然温泉のお風呂や、遠く相模湾越しに見える富士山の景色などを楽しむことができるホテルです。
年々増加する高齢のお客様に少しでも安心して大島の滞在を楽しんでいただこうと、(公財)東京観光財団の「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を活用してバリアフリー化に取組み、2023年3月にリニューアルオープンしました。東汽観光株式会社 代表取締役、大島温泉ホテル支配人の山川哲矢さんにお話を伺いました。
ホテルからの三原山の眺望
支配人 山川哲矢さん
高齢のお客様が安心して伊豆大島の魅力を楽しんでいただけるように
エントランスのスロープと手摺
ロビー階から客室階への階段と昇降機
バリアフリー対応洋室の電動リクライニングベッド
廊下の両側に備え付けられた手摺
もともとはフロントや食事会場がある入口階から客室階には7段の階段があり、車いすを使用している方にとってはとても使いにくい宿泊施設でした。地階にある大浴場には階段しかありません。このままでは、大島の自然と温泉を楽しみに来島されるご高齢のお客様の対応が難しくなると考え、バリアフリー化を検討する際に(公財)東京観光財団の補助金が後押しをしてくれました。
施設の改修は計画的に行いました。最初の年は玄関の段差をスロープで解消し手摺を付けました。次にロビー階から客室階への階段横に昇降機を設置して必要な際はスタッフが操作することにしました。合わせて廊下の両側には手摺りを付け、足の不自由な方も安心して通行できるようにしました。
客室については、それまで和室であったお部屋を車いす使用者が過ごしやすいよう39㎡の広さのバリアフリー対応の洋室に全面改修を行い、東京都の「宿泊施設バリアフリー化促進事業」のアドバイザーの助言も頂きながら、2台のベッドはいずれも電動リクライニングベッドで起き上がりやすく、高さをお客様の障害の状況に合わせることができ、移乗がしやすいものを購入しました。クローゼットのハンガーバーは上下2段で、車いすユーザーでも手が届く高さにあります。その他にはパブリックスペースの段差解消にも取り組みました。
エントランスのスロープと手摺
ロビー階から客室階への階段と昇降機
バリアフリー対応洋室の電動リクライニングベッド
廊下の両側に備え付けられた手摺
国立・国定公園特別地域内に在るという事情
観光庁:観光施設心のバリアフリー認定マーク
ホテル屋上三原山テラスからの眺望
このバリアフリー化改修を機に観光庁の「観光施設における心のバリアフリー認定施設」に認定されました。しかしまだバリアフリー化が達成できたわけではありません。三原山が眺望できる当館の売りの大浴場は地下にあり、通路は階段のみで車いすユーザーは利用が難しい状況です。晴れていれば三原山と富士山の両方が眺望できる屋上の三原山テラスにも残念ながら階段のみで車いすではアクセスできません。
当初改修を計画した段階では大浴場がある地下から屋上までを結ぶエレベーターの設置を考えましたが、建物が国立・国定公園特別地域内に在るため建築の許可基準が厳しく、躯体に及ぶ工事ができません。エレベーターの設置となると建物内部を工事して空間を創るか、外に付け足すかのどちらかになりますが、いずれも許可基準をクリアできず今回のリニューアルでは実現できておりません。しかし、まずは段差解消の昇降機を設置することで、躯体に手を付けることなくロビー階から客室階へのバリアフリー化は実現できました。
観光庁:観光施設心のバリアフリー認定マーク
ホテル屋上三原山テラスからの眺望
誰もが大浴場や屋上テラスを楽しめるようにしたい
車いす使用のお客様にも地下大浴場でゆっくりと温泉を楽しんででいただきたい、屋上の三原山テラスで富士山と眼前に迫る三原山の雄姿を眺めて欲しいと、スタッフがお手伝いして地下・屋上にご案内するようにしています。お部屋のお風呂では温泉を楽しめず、また、屋上で雄大な景色を見ていただけないのでは申し訳ないという思いです。しかし、お客様としてはスタッフに迷惑をかけるため、そこまでしてもらうことは遠慮したいという気持ちもあるようです。
エレベーターの設置に関しては現在も検討中です。躯体に手を付けず、定められている建築の許可基準の中で何とか実現できるよう試行錯誤をしています。誰もが地下の大浴場から屋上の三原山テラスまで自由に行き来できる日が来るよう、今後もバリアフリー化を進めて参ります。
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