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ぼちぼちアドベンチャーすそのの取組み 東京都西多摩郡奥多摩町海沢24
自然体験のアクセシブル・ツーリズム
ぼちぼちアドベンチャーすその 太田 旭さん
SUP(スタンドアップパドルボード)
ぼちぼちアドベンチャーすそのは森林や渓谷、渓流など多くの自然が残る多摩川上流域奥多摩の白丸湖でカヌーやSUP(スタンドアップパドルボード)等のアウトドアツアーに取り組んでいます。アウトドアツアーと聞くと「スリル」や「冒険」といった言葉を連想しますが、カヌーやSUPはあくまでも自然観察のためのツールで、春夏秋冬を肌で感じ、森や湖に息づく自然に親しみを感じていただくことを目的とした体験です。
山頂を目指すのもいいけれど、がんばり過ぎずに山のふもとの傾斜がある緩やかなところ「裾野」でぼちぼち楽しむのもいいという発想で、肢体不自由な方、知的障害の方、高齢者など誰もが無理せず、ゆったりと自然を楽しめるアクセシブル・ツーリズムを実践しているぼちぼちアドベンチャーすその代表の太田旭さんにお話を伺いました。
東ぼちぼちアドベンチャーすその 太田 旭さん
SUP(スタンドアップパドルボード)
きっかけは母親のカナディアンカヌー体験から
カナディアンカヌー
身体に障害がある方にとっては素晴らしい自然も大きなバリアになることもあり、体験することは難しいと考えていましたが、取り組むきっかけとなったのは身内からでした。奥多摩の自然を楽しんでほしいと、当時80歳で足が不自由だった母をカナディアンカヌーに乗せたことがアクセシブルな自然体験の始まりです。また、仲の良い友達に知的障害の弟がいました。ダウン症の彼との付き合いがあって、障害者との向き合い方を自然と身に着けてきたことが誰もが楽しめるアウトドアツアーにつながっています。
肢体不自由の方や視覚障害の方など、障害があっても奥多摩の自然を体験してみたいという要望には可能な限り実現できるよう対応してきました。SUPの乗り場まで肢体不自由な方を背負って降りたこともあります。ブラインドサッカーの選手だった方はSUPを楽しみ、目が見えないにもかかわらず岸に近寄ったことを感覚で察知して方向転換するなどその能力に驚きました。聴覚に障害がある80歳代の高齢者の場合は恐る恐るカナディアンカヌーを体験しましたが、パドルさばきも慣れてくると水面をすいすいと進み、湖上から見上げる新緑を楽しんでいました。「音声による説明が必要な観光は苦手ですが、自然の素晴らしさを五感で感じることができるこの体験は格別です。」と、うれしいお言葉をいただきました。脳性麻痺のお子様連れのご家族はこの奥多摩の自然体験を気に入り、何度かリピートしています。
事前に連絡をいただければ、その方に必要な配慮を考え、どうしたらSUPやカナディアンカヌーを体験できるかを検討します。もちろん状況によってはできないこともあります。個人の要望をお伺いして、バリアを乗り越える方法を考えて自然を楽しむオーダーメイドの体験です。
カナディアンカヌー
誰もが楽しめるアウトドアツアーを目指して
皆で昼食を作ります
SUPに乗るまでは期待と不安が入り混じります
ゆったりとした流れの白丸湖でSUPを楽しみます
オーダーがあれば障害がある方にも自然体験を提供してきましたが、ある時、障害の有無にかかわらず、誰もが同じツアーの仲間として、一緒にアウトドアを楽しんでほしいという思いが湧いてきました。奥多摩の自然体験が特別なものではなく、全ての参加者が一緒に楽しめるツアーを企画したいと考えました。都内で障害福祉の相談支援専門員として勤務している公認心理師の中村梨絵さんがパートナーとして協力していただけることとなり、2024年6月からインクルーシブSUPトライアルツアーを実施しています。障害のある参加者の事前ニーズを中村さんが聞き取り、代表と二人で協議の上当日の準備をします。
このツアーの特徴は①6名が上限と、少人数であること②障害の有無を問わないこと③SUPに乗るまでのプロセスを大事にすること④SUPにうまく乗れなくとも結果を求めないこと等です。オーダーメイドではなくツアーとして実施するため、ツアー参加者同士のコミュニケーションも重要です。少人数ですとお互いに打ち解けあうのが早いです。また、SUPに乗るまでのプロセスも大事にしています。まず、参加者が協力して昼食の準備をします。共同作業により、見知らぬ方とのコミュニケーションを通じて一体感が醸成されます。できあがった昼食はお弁当にして、河原で楽しみます。川の流れに足を入れて、頬張るお弁当の味は格別です。昼食の後は、白丸湖でSUPを楽しみます。SUPに乗ることがうまくできない方もいます。ボードに乗る一歩を踏み出すことに躊躇している方もいます。時間もかかりますが参加者が応援します。そのドラマを皆が共有できることを大事にしています。乗れた後の笑顔が誇らしげです。ボードに乗れないこともありますが、それは失敗ではなく経験として大切にしてほしいと願っています。
皆で昼食を作ります
SUPに乗るまでは期待と不安が入り混じります
ゆったりとした流れの白丸湖でSUPを楽しみます
誰もが参加しやすいインクルーシブな自然体験に向けて
インクルーシブSUPトライアルツアーは2024年11月末時点で既に4回開催しており、知的障害の方とその家族、障害がない方等が同じツアー仲間として楽しんでいただきました。誰もが参加でき、楽しめるという意味でインクルーシブと名付けました。まだトライアルの実証段階ですが、これを定番のツアーにするかイベントとして開催するか試行錯誤しています。今までどおり、ご要望がある場合はオーダーメイドの対応もしていきます。奥多摩の自然を楽しみたいというご希望をできるだけお断りすることなく、素晴らしい体験を提供できるようたくさんのノウハウの引き出しを持つことがこれからのポイントと考えています。
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誰にでも優しく、
どこへでも行ける 東京。
観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
「行きたいところを旅する」ということは
人生を豊かにしてくれます。
東京は、あなたが訪れてくれることを歓迎します。
伝統・歴史・文化・自然・テクノロジー、
そしてなにより笑顔に出会えることでしょう。
アクセシブル・ツーリズムを
もっと身近に、もっと楽しく。