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奥多摩の風 はとのす荘の取り組み 東京都西多摩郡奥多摩町棚沢662
誰もが快適に過ごせる宿泊施設を目指して
奥多摩の風 はとのす荘
支配人 大島真司さん
JR青梅線で都心から約2時間。緑豊かな山々、渓谷、湖など雄大な自然が広がる奥多摩の地に、「奥多摩の風 はとのす荘」はあります。エントランスを抜けてベランダに出ると、多摩川の鳩ノ巣渓谷が旅人の目を楽しませてくれます。
館内にはバリアフリールームが2室あり、多目的トイレも完備。アレルギー対応や刻み食にも対応しており、障害のある方にも利用しやすい宿泊施設です。誰もが快適に過ごせることを目指したアクセシブル・ツーリズムの取り組みについて、支配人の大島真司さんにお話を伺いました。
奥多摩の風 はとのす荘
支配人 大島真司さん
全面改修を契機に施設のバリアフリー化
57㎡のゆったりとしたバリアフリールーム
開閉が楽な引き戸のバスルーム
この宿は、1960年に「国民宿舎鳩の巣荘」として開業しました。2015年に現在の「奥多摩の風 はとのす荘」として、施設の全面改修とともにリニューアルオープンしました。奥多摩町が所有し、第三セクターの奥多摩総合開発株式会社が運営しています。
車いす使用者用の駐車場は1台分ですが、玄関に近く、雨天時でもほとんど濡れずに玄関まで移動できます。チェックイン時には、車いすユーザーが宿泊カードに署名しやすいよう、低めのデスクで対応しています。客室までのアクセスは全館バリアフリーで、廊下には硬めのカーペットを敷き、車いすでの移動がしやすくなっています。1階の共有スペースには、多機能トイレを設置しています。
総客室数27室のうち、バリアフリールームは2室設けています。入り口は有効開口幅90cmと広く、高齢者や障害のある方でも開けやすい引き戸を採用しています。57㎡の広々としたフラットなフローリング仕様で、車いすでの移動や回転もスムーズにできます。ベッド周りには足乗せ用のオットマンがあり、車いすからベッドへの移乗がしやすいと好評です。
バス・トイレは分離型で、開閉が楽な引き戸を採用しました。トイレには手すりを設置し、オストメイトにも対応しています。バスルームには滑りにくい床材を使用し、ハンドシャワーは高さ調整が可能です。シャワーチェアは背もたれあり・なしの2種類を用意し、必要に応じて浴槽に手すり付きのバスボードを設置することで、浴槽を跨がずに入浴できる工夫をしています。
57㎡のゆったりとしたバリアフリールーム
開閉が楽な引き戸のバスルーム
令和7年4月「東京都障害者休養ホーム事業」に登録
誰もが快適に過ごせる宿泊施設を目指してきた結果、令和7年4月より東京都障害者休養ホームに登録されました。この制度は、障害者(児)が家族や仲間とくつろげる保養施設を指定し、利用者の宿泊料の一部を東京都が助成するものです。登録後は、年齢を問わず多くの方々にご利用いただいています。
食べたい気持ちを大切に、イタリアンの夕食
イタリアンの夕食が食欲をそそります
自然や温泉だけでなく、食事も楽しんでいただけるよう工夫しています。旬の食材や奥多摩やまめ、奥多摩山葵など地元の産品を使い、見た目にも美しいイタリアンで提供しています。アレルギー対応や刻み食、カット食などの要望にも可能な限り対応しています。
レストランはフラットな構造で、車いすユーザーにはご要望を伺いながら、着席しやすいスペースを確保しています。
イタリアンの夕食が食欲をそそります
奥多摩の自然を守り、また来たいと思う宿を目指して
奥多摩鳩ノ巣渓谷の眺め
奥多摩は自然が豊かである一方、段差や険しい道が多く、高齢者や障害のある方にとっては厳しい環境でもあります。鳩ノ巣渓谷の新緑や紅葉は素晴らしい景観ですが、車いすでの散策は制約があります。
それでも、多くの障害のある方やそのご家族、高齢者に自然を楽しみながら、温泉や食事、景観をゆったりと満喫していただきたいと願っています。そのためには、「来てよかった」と言っていただけるような、心地よい接遇が欠かせません。
従業員には地元の高齢者や、高齢者と暮らすスタッフも多く、自然な配慮が可能です。高齢者や障害のある方の要望を丁寧に聞き、おもてなしを心がけています。お客様の声を受け止めることで、接遇の質も日々向上しています。
ある車いすユーザーの方からは、「宿に入った瞬間、スタッフの皆さんの笑顔が印象的でした。チェックインの際、同行者ではなく本人に問いかけてくれたのが嬉しかったです」とのお言葉をいただきました。何よりも、配慮が必要な方を中心に考えたスタッフの対応が評価されています。
かつて奥多摩で登山やハイキングを楽しんだ年配のお客様からは、「懐かしい、もう一度奥多摩を楽しみたい」という声も多く聞かれます。この自然を守りながら、誰もが快適に過ごせる、「また来たい」と思える宿を目指してまいります。
奥多摩鳩ノ巣渓谷の眺め
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誰にでも優しく、
どこへでも行ける 東京。
観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
「行きたいところを旅する」ということは
人生を豊かにしてくれます。
東京は、あなたが訪れてくれることを歓迎します。
伝統・歴史・文化・自然・テクノロジー、
そしてなにより笑顔に出会えることでしょう。
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