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誰もが楽しめる自然体験型観光推進事業
トレッキング支援ワークショップ開催レポート

東京都では、障害者や高齢者等が東京の自然を安心して楽しめる「誰もが楽しめる自然体験型観光」を推進しています。新宿区の新宿スポーツセンター、都立戸山公園にて、令和6年11月7日に実施した「トレッキング運営体験ワークショップ」についてお伝えします。

動画

目 次

開催内容

障害者にトレッキング体験を提供するために、東京都内の旅行業者などを対象に、障害者等に向けて自然体験型観光プログラムを提供するノウハウを学ぶ「トレッキング運営体験ワークショップ」を開催しました。
プランニング・ネットワーク ユニバーサルツーリズムアドバイザー、オフィス・フチ 代表の渕山知弘氏を迎え、講義と、実体験(車いす補助と視覚障害者手引き模擬体験)を実施しました。
渕山氏は大手旅行会社で30年勤務し、そのうち22年間バリアフリー旅行やユニバーサルツーリズムに注力、現在はその経験を活かして、全国の自治体、企業、学校等のユニバーサルツーリズム関連業務に対応しています。東京都では観光産業ワンストップ支援センターの東京観光産業アドバイザーに登録されています。
講義は「自然体験✕アクセシブル・ツーリズムのススメ」として、アクセシブル・ツーリズムについて、障害者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々のニーズに応えながら、誰もが旅を楽しめることを目指すものであると解説しました。さらに、自身がサポートする高知県での自然体験プランと長野県の高原リゾートの取組を紹介しました。

渕山氏による講義の様子

先進的なアクセシブル・ツーリズム事例にて示されたポイント

講義の中では、先進的なアクセシブル・ツーリズム事例の紹介を通じて、以下のポイントが示されました。
・障害者の旅の可能性 ・他地域の発想や工夫、機材導入などは参考になること ・旅をあきらめない!との考え方 ・“行きたい”を“行ける”に! “やりたい”を“できる”に!として取り組む姿勢 高知県では、誰もが安心して楽しめる高知県観光の実現に向け、バリアフリー観光の推進に取り組んでいます。セミナーでは高知県のサイトにて「“行きたい”を“行ける”に! “やりたい”を“できる”に!」として、発信されている2事例を共有しました。
・事例【車椅子でドルフィンスイム体験!室戸市・ドルフィンセンター】 https://www.youtube.com/watch?v=PVHSZ3xMvSM
・事例【車椅子でヨット(ハンザクラス)体験!香南市・YASU海の駅クラブ】 https://www.youtube.com/watch?v=SRpRkOVbRY0
ヨットについては、全盲の方に盲導犬と一緒に乗船する体験を提供した事例も紹介しました。

講義で車いすドルフィンスイム体験の様子をユーチューブ動画を視聴する様子

視覚障害者への支援

さらに、渕山氏から、視覚障害者に時計の針に例えて位置や方向を説明するクロックポジションについて、説明がありました。例えば、画像のとおり時計をイメージして「8時の方向にお茶碗があります」と伝えることで、位置をわかりやすく説明することができます。歩行支援や食事の提供など、様々な場面で活用することができます。
また、視覚障害者と一言で言っても、見え方は様々です。全盲の方だけではなく、視野の中心だけ見える場合や、全体がぼやける場合など、当事者の状況に応じたサポートが必要になるとの説明がありました。

講義にてクロックポジションを説明する様子

実体験セミナー

講義の後は、戸山公園にて、視覚障害者の手引き体験や車いすの操作を学ぶ実体験を行いました。
〇アイマスクを使った視覚障害者手引き体験
まずは、アイマスクを使って視覚障害者の歩行支援を学びました。視覚障害者が誘導者の肘や肩に手をかけ、誘導者は同じ方向を向きながら、クロックポジションで状況を伝えて歩行を支援しました。
【誘導時のポイント】
・まずは誘導者が声をかける(黙って触れたり、突然手を引っ張ったりしない) ・視覚障害者が誘導者の肘や肩に手をかける ・誘導者が半歩前を歩く ・段差や階段では、手前及び終わりの地点で声をかける(上がる、下がる等を伝える) 歩行支援体験を通じて、正しい方法で誘導することや、クロックポジションでどこに何があるか説明することが、いかに視覚障害者の支援になるか実体験しました。

〇車いす実体験
・車いすの基本的な操作方法を学んだ上で、悪路や坂などでのサポート方法を実体験。 〇車いすけん引装置「JINRIKI」実体験
・車いすけん引装置の活用により、階段の昇降等ができることを体験

車いすけん引装置を利用して公園内の階段を昇る実体験の様子
公園内の非舗装箇所をけん引する実体験の様子

参加者の声

アイマスクを利用しての手引きについては「目が見えないことの怖さは想像以上だった」「人と人の信頼関係が大事」との声がありました。
また、「車いすの押し方や視覚障害の方の誘導方法は世の中の常識として身に着けておく知識だと思いました」「車いすの使い方が分かるだけで、移動できる場所は大きく変わる」「けん引装置の効果は大きく、女性の力でも簡単に段差の昇降ができることが分かった」との声がありました。

参加者は手引き役とアイマスクをして視覚障害者役を交互に体験

誰もが楽しめる自然体験型観光推進事業補助金

東京都では令和6年度から『誰もが楽しめる自然体験型観光推進事業補助金』制度を設けています。障害者や高齢者などが、東京の自然を安心して楽しめる観光プログラムを提供する事業者などに対して、プログラムの実施に必要となる備品などの導入経費の一部を補助する補助金を用意しています。記事で紹介した車いすけん引装置等も補助金の対象となります。 詳細は下記URLをご参照ください。
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/tourism/kakusyu/nature/

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